研究課題/領域番号 |
15K01918
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
ヤマモト ベバリーアン 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (10432436)
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研究分担者 |
北野 尚美 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40316097)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | セクシュアリティ / ジェンダー / 思春期 / 若年妊娠 / 性 / 健康リスク行動 / 学校保健 / フォーカスグループ |
研究実績の概要 |
1)TLT日本版開発を進めた。研究者らでTLT原版を翻訳し、2015年9月に暫定日本版v.1(33項目)を作成した。次に、東北地方の某高等学校の協力を得て、性教育の経験豊かな養護教諭や高校教員と研究者らが会して、TLT日本版v1の内容と用語を検討し、2項目について表現の一部を変更した(暫定日本版v.2)。2016年1月、研究同意が文書で得られた高校生を対象に、v.2を用いて、高等学校養護教諭がファシリテーターとなって、フォーカスグループ(参加者十数人、4グループ)を実施した。高校関係者らからは、TLTの活用によって生徒の発言が促され、活発な議論がなされたことへの驚きの声があった。2016年3月に、首都圏在住の若者の悩み相談に関わっている20歳前後の若者5人の協力を得て、暫定日本版v.2の内容と表現について検討した。若者らからは、日常会話でよく使用している話し言葉を用いた表現が複数提案(暫定日本版v.3)された。それらを参考に現在検討中である。 2)英国でTLTを用いてフォーカスグループを実施した(2015年5月)。grade10,11年生を対象に、7つのフォーカスグループ(T校 2グループ, G校 3グループ, R校 2グループ)を実施し、それらデータの予備解析から、9つのテーマを抽出した。 3)健康リスク行動の予防に資する既存資料の分析 学校における思春期保健の授業内容に活用することを目的に、喫煙が妊娠経過や胎児・子どもに与える影響について、日本の特定地域で妊婦を対象に過去に実施された調査データの分析に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H24-26年の基盤(C)研究課題から継続して取り組んでいる課題であり、主任研究者の英国での研究基盤が確立していること、日本思春期学会で継続的に成果を報告することで日本での実践家や研究者とのネットワークも拡がってきていることから、当初の計画に沿って進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
1.TLT日本版の完成に向けて、日本国内で養護教諭、保健師、産婦人科医師、若者グループらと検討の機会を複数設定し、暫定版を用いたフォーカスグループを実施して評価と見直しを進める。 2.完成したTLT日本版を用いて、日本国内で中高生を対象としたフォーカスグループと、思春期保健に関わる専門職を対象としたフォーカスグループを実施し、そのデータを分析する。 3.英国で収集したフォーカスグループのデータの分析を進め、成果を公表する。 4.若年妊娠層について、妊婦の喫煙とその影響に関する知識の関連を分析する。 5.十代の健康リスク行動、特にセクシュアリティに焦点を当て、リスクへの予防的介入のみならず、健康とwell-beingのための肯定的視点から性をとらえて、思春期の教育に活用することが可能なTLT日本版を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担研究者の英国出張予定について、日程調整がつかず取り止めたため。
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次年度使用額の使用計画 |
調査実施と関連学会で演題発表のための旅費として使用を予定している。
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