本研究は公共セクターの持つジェンダー平等化機能と保育士の集団的発言力の変化に着目し、日本における公的保育制度の再編は安定的なケア供給体制の構築と労働におけるジェンダー平等達成の道筋になりうるか否かを問うた。第一に、2000年代以降、供給主体の多元化と市場化政策によって保育士の集団的発言力を弱化させるとともに、公共セクターが政策実行者としても雇用者としてもケアワークの労働力編成に対するジェンダー変革的機能を弱化させ、ジェンダー不平等を拡大させていった。第二に、シンガポール、アメリカの比較において日本では今後、雇用とケアのインターフェイスは構造的かつジェンダー化された脆弱性をはらむ可能性が高い。
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