研究課題/領域番号 |
15K01925
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
千田 有紀 武蔵大学, 社会学部, 教授 (70323730)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 母性 / フェミニズム / エコロジー |
研究実績の概要 |
本研究は、エコロジーとフェミニズムの関係を問い直し、理論的に深化させることを目的としている。その際にフェミニズムの理論の見直しと、またエコロジカル・フェミニズムがこれまで依拠してきた「母」という役割、「母性」について、さらにそのケアの対象である「子ども」についてもまた問い直すことを目的のひとつとしている。 今年度は、まず1970年代のウーマン・リブの実践にみられるフェミニズムの思想について検討した。ウーマン・リブは、家族に対しての疑問をなげかけ、主婦であること、子どもであること、そして女であることについて問い直してきた。そのウーマン・リブの思想が誕生してきてから50年が経過し、そのリブの実践や思想はどのように振り返り得るものなのか。主に田中美津の思想実践に着目しつつ、ウーマンリブの思想がどのようにフェミニズムの理論と接合され、また「母」について語られるのかについて考察した。 さらに母であることと「子どもの利益」はどのような関係にあるのかについても考察した。特に近年に、DV被害者である母親と虐待される子どもは、共通の加害者から暴力を行使される被害者である。しかしその関係はともに被害者であるとは呼ばれ得ない事件がいくつか発生している。そのような事件を詳細に追いつつ、また理論的に「子どもの利益」や「ケア」や「母役割」などに考察を加えた。そのことによって、母と子どもの関係はどのように切り結ばれ、何が「子どもの利益」と呼ばれることが可能であり、「母」とはどのような存在になり得るのかについて考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
フォローアップの調査のためのサンフランシスコへの渡航調査が夏にできなかった。またせめて3月に行おうと考えていたが、新型コロナウィルスの影響で渡航を断念せざるを得なかった。日本での調査や研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの理論的な検討をまとめる予定である。またサンフランシスコへの渡米調査を行わなければならないが、新型コロナウィルスの影響で先行きは不透明だと考えられ得る。渡航できない場合は、これまでのデータをまとめ、日本における調査を中心に研究成果をまとめることを考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
体調不良もあり、予定であったサンフランシスコへの渡航ができなかったため。次年度使用額は、2020年度に調査旅費や資料購入費として使用する計画である。
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