本研究は、エコロジーとフェミニズムの関係を問い直し、理論的に深化させることを目的としていた。その際にカリフォルニア州バークレーで、フィールドワークを行った。カリフォルニアでの反原子力運動に着目し、大学が広島の原子爆弾を開発したことを批判し、日本に関心を寄せながら約30年間活動を続けている団体Circle of Concernのメンバーに、設立の経緯とライフヒストリーの聞き取りを行ってきた。しかしながら新型コロナウィルスの影響によりずっと渡米できなかったことで、Circle of Concernのメンバーは次々と亡くなってしまっていることが分かった。細々と活動を続けている2名の活動に参与観察し、また改めてインタビューを行うことによって、亡くなったメンバーの活動を振り返った。 また福島第一原子力発電所の事故以降、日本領事館への請願活動についても、月1のものは終了していた。がしかし、それ以外の活動についても、参加者にインタビューを行うことができた。 今年は科研の最終年度であるため、これまで積み重ねてきたインタビューの文字起こしを読み直した。またこれまでフェミニズムにおいて、母性がどのように語られてきたのかについて、改めて問い直した。また近年の社会、ポストフェミニズムだといわれ、ポスト近代家族(近代家族の揺らぎ)が出現しつつある社会における母性についての考察も、新たにおこなった。こうしたこれまでの調査や考察をまとめることにより、母性主義フェミニズムについても理解を深めた。
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