研究課題
基盤研究(C)
本研究では、カリフォルニア州において環境運動にたずさわる女性たちにインタビュー調査や参与観察を行うことで、フェミニズムとの関係をさぐった。彼らは「母性」という言葉を鍵にしないことによって、むしろ広範な参加者を集めることに成功していた。日本で東日本大震災のあとには「子どもへの責任」という言葉が多用されたが、それはむしろ政治的な対立を避けるためのものであり、かならずしも「母性」に依拠していたわけではない。
社会学
これらの研究は、フェミニズムは環境問題についてどのように考えられ得るのかという問題意識から出発しており、日本においてはあまり顧みられてこなかったエコフェミニズムの可能性を探るものである。またアメリカにおけるかつての運動や、東日本大震災後にアメリカで起きた運動などについて記述すること自体に、一定の意義があると考えられる。日本では「母性」という言葉よりも、「子どもに対する責任」という言葉がむしろ鍵となっており、今後次世代への倫理について発展させていく必要があることが確認された。