研究課題/領域番号 |
15K01926
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
辻村 みよ子 明治大学, 法務研究科, 専任教授 (30158381)
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研究分担者 |
矢野 恵美 琉球大学, 法務研究科, 教授 (80400472)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ジェンダー / ジェンダー法 / 男女共同参画 / ポジティブ・アクション / クオータ制 |
研究実績の概要 |
2017年度は,2018年1月11日に明治大学法科大学院ジェンダー法センター共催の公開研究会「ポジティブ・アクション研究会」(下記*)を開催したほか,研究代表者と分担者が、それぞれの研究計画に従って、諸国のポジティブ・アクションに関する研究を進め、成果を公表した。とくに研究代表者(辻村)は、フランスの地方議会のペア投票制などを中心に諸国の政策について比較検討し、その成果の一部を辻村みよ子『比較憲法(第3版』岩波書店(2018年3月)などで公表した。また研究分担者(矢野)は、女性に関するポジティブアクションについて、大学教員、刑務官等について、北欧の状況と比較しながら研究を進めてきた。大学教員に関しては、例えば、2016年における研究者における女性の割合はスウェーデン33.3%、日本15.3%、教授における女性の割合はスウェーデン24%、日本15.4%となっている。スウェーデンでは大学教員採用時におけるポジティブ・アクションが実施できないため、教授における女性の割合が伸び悩んでいるのに対し、日本では大学教員採用時におけるポジティブ・アクションが認められており、功を奏し始めていることが確認された。
*「ポジティブ・アクション研究会」2018年1月11日(木)明治大学駿河台キャンパス14号館 6階会議室、テーマ「近年のポジティブ・アクション政策の展開―政治分野を中心に」①企画趣旨「近年のポジティブ・アクションをめぐる動向(衆議院クオータ法案・日弁連副会長クオータ制等)」辻村みよ子、②「フランスの地方議会ペア制度について」辻村みよ子、③「日本の地方議会における男女共同参画――女性議員の政策決定への関与を中心に」<一橋大学公共政策大学院生>、コメント<東京大学社会科学研究所准教授>等
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者(辻村)は、フランスや韓国を中心とした研究を進めており、成果の公表のための、共著の刊行をめざしながら、共同研究のネットワーク化に努めてきた。2018年1月開催のポジティブ・アクション研究会もをの一環である。また、日本のジェンダー平等や家族の問題について、大阪弁護士会(2017年5月13日)、沖縄弁護士会(同年11月24日)などで招待講演を行った。 研究分担者(矢野)は、スウェーデンのジェンダー平等に関する研究をつづけ、とくに、刑務所における刑務官に関する研究成果を得た。例えば日本、スウェーデン共にポジティブ・アクションが導入されていないが、女性の働きやすさや刑務官の配置方法等から、スウェーデンでは女性刑務官の幹部が多い。日本では女性刑務官の離職率が非常に高く、ポジティブ・アクション導入の余地があることが明らかになった。その他、イタリアのミラノ、ボッコニ大学(Università Bocconi)主催の講演会(Bocconi University Room 1 c3 sr01 via Röntgen 1, Milano)で「女性刑務官の問題を含む日本の女性刑務所の問題」について講演(2017年10月12日)した。また、高知県地域生活定着支援センター講演会で「女子刑務所に関わる人達ー受刑者・職員・家族」(2016年10月16日)、ぎのわん翼の会講演会で「男女共同参画について」などの招待講演の機会を得るなど、順調に研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は最終年度であるため、研究成果を刊行するため、共著者間の連携と共同研究を進める。具体的には、2015年7月に設立した明治大学特定課題研究ユニット(「ジェンダー平等政策と女性の人権研究プロジェクト」)と連携して「ポジティブ・アクションと女性の人権(仮)」に関する出版準備と、「継続教育における女性法曹養成人材育成」に関する報告書作成を目指す。このため、研究代表者(辻村)は(2018年6月の韓国出張等により)韓国・フランスとの比較研究を進める。研究分担者(矢野)は、スウェーデンの女性刑務官の研究等を中心に、引き続き北欧と日本の比較を行いながらポジティブ・アクションの有効性を調査し、研究成果を公刊する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張・海外調査を予定して旅費を申請していたが、研究代表者の体調不良により出張を取りやめたものがあったため、次年度使用額が生じた。2018年度に、当初予定した出張もしくは他の研究方法を実施して使用する予定である。
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