研究課題/領域番号 |
15K01927
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
神野 由紀 関東学院大学, 人間共生学部, 教授 (80350560)
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研究分担者 |
辻 泉 中央大学, 文学部, 教授 (00368846)
山崎 明子 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (30571070)
溝尻 真也 目白大学, 社会学部, 専任講師 (50584215)
中川 麻子 大妻女子大学, 家政学部, 准教授 (60468329)
飯田 豊 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (90461285)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 手作り / 自作 / 手芸 / ジェンダー / DIY / 近代日本 |
研究実績の概要 |
衣服や住まいの生活用品など、大量生産の既製品が安易に購入できるようになった20世紀半ば、自己表現としての手作りが大衆化していく。本研究では『ジュ ニアそれいゆ』『子供の科学』の雑誌調査などから、幼少期の雑誌などからの影響により、女性の針と糸による「手芸」に対して、男性は鉄道・航空機といった 乗物模型やラジオなど電気製品の「工作」と呼ばれる手作り趣味が興隆した背景を明らかにした。 男女の手作りは近代的なジェンダーの枠組みの中で、それぞれの領域を発展させていった。少女期のアップリケに始まり、その後のパッチワーク・キルトなど、 布を用いた手芸は、女性が家庭を美しく飾ると同時に、家庭内での女性の自己表現となっていった。一方で男性の工作は、戦中期の軍事的な目的での工学少年の 育成から、戦後のテクノクラート育成まで、工学に関心を向けさせるための有効な手段として用いられた。両者の関係は完全に交わることのない平行線を辿って いるかのように思われたが、1970年前後からは、女性解放運動の影響から女性にも大工仕事が推奨される、あるいは男性の家庭生活への接近で日曜大工が広まる など、ジェンダーにとらわれない動きもみられた。ただし、こうした動きは一部であり、大半の手作り趣味は前述の保守的なジェンダーで明確に区分され、人々 は進んでその趣味を受容しており、少年少女期に培養された価値観の根強さを確認できた。 しかし今日、手作りを介した新たなコミュニティ形成など、こうしたジェンダーの枠組みを超えるような新たな手作りの文化も生まれてきていることも明らか になった
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