研究課題/領域番号 |
15K01933
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
内藤 葉子 同志社大学, アメリカ研究所, 嘱託研究員 (70440998)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マリアンネ・ヴェーバー / ジェンダー / フェミニズム / ドイツ女性運動 / リベラリズム / マックス・ヴェーバー |
研究実績の概要 |
2015年度においては、研究実施計画にしたがい、国内での資料収集に着手した。並行して、国内では収集不可能な資料を入手するためドイツの各文書館の蔵書リストを調査し、該当文書館と連絡をとったうえで渡独の準備に入った。9月1日から17日にかけてバイエルン州立図書館、連邦公文書館コブレンツ館、プロイセン文化財枢密公文書館にて、マリアンネ・ヴェーバーの文献や書簡、彼女に関連する人物の資料、ドイツ女性団体連合(BDF)関連資料を中心に資料収集を行った。またミュンヒェンでは、現在マックス・ヴェーバー全集の編纂が行われているバイエルン学術アカデミー(Bayerischen Akademie der Wissenschaften)にてE・ハンケ博士にお会いする機会にめぐまれ、マリアンネ・ヴェーバーに関連する情報および資料の提供を受けた。帰国後、ドイツでの資料収集と調査結果を整理し、得られた知見をまとめる作業と読解に順次着手した。 また2016年5月に開催される法社会学会の自由論題報告に応募し、報告が確定した。報告タイトルは「女性の近代的主体化をめぐるフェミニズムの葛藤と挑戦―マリアンネ・ヴェーバーの家族法批判と市民的家族像の検討から―」である。研究実施計画に照らして、マリアンネ・ヴェーバーの第二帝政期における思想形成に焦点をあて、とくに研究計画②彼女の市民的結婚観・家族観、研究計画③マックス・ヴェーバーやジンメルらドイツ・リベラルな知識人からの影響、および彼らの思想との共通点・相違点を中心に検討し、報告の準備を進めている最中である。 研究成果の意義と重要性についてはまだ十分な成果を出せていないが、ドイツにおけるマリアンネ・ヴェーバー研究が予想以上に進展しており、本研究を早急に遂行し成果を出すことの重要性をあらためて認識している次第である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2015年度は、先行研究の確認・既存の文献整理および検討すべき資料・文献の具体的確定と国内での収集の開始した。さらに国内で入手不可能な資料についてはドイツでの資料収集先を確定し、夏季休暇を利用して渡独、資料・文献収集を行った。また、2016年度の法社会学会で報告する準備するためのエントリーを行い、報告が確定した。2015年度の研究計画書に照らした場合、おおむね予定どおり作業を進めているため、当該区分を選択した。 ただし2015年度は渡航費等に予算がほぼ費やされたため、二次文献を含めた資料収集がなおも十分ではない。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については、2015年度に収集した資料の読解を質量ともに増やすとともに、必要な資料収集を急ぎ、下記に述べる研究成果につなげる予定である。 まず2016年5月に法社会学会(於:立命館大学)にて報告を行うことが確定している。そこではマリアンネ・ヴェーバーのドイツ民法典(BGB)家族法・婚姻法批判と彼女の市民的家族観・結婚観を検討しながら、ドイツ・リベラリズムと彼女のフェミニズム論との影響関係について報告する予定である。この報告をもとに、法社会学会の学会誌『法社会学』に投稿する準備にはいる。 また同志社大学アメリカ研究所の『同志社アメリカ研究』第53号(2017年刊行予定)の公募論文に応募する。これについては、マリアンネ・ヴェーバーが1904年に夫マックス・ヴェーバーの世界学術会議参加に同行したアメリカ旅行を中心に、当時のアメリカの女性運動からの影響、およびマックス・ヴェーバーとの思想的影響関係について検討し、女性の近代的主体化をめぐるマリアンネの思想形成の一側面を考察する。さらにワイマール期、ナチス期、第二次世界大戦後のマリアンネ・ヴェーバーの結婚観・家族観およびこの時期の政治的立場について研究を進め、この内容を元に2017年度の政治思想学会での自由論題報告に応募する準備に入る。 以上の作業を遂行しながら、先行研究、二次文献の洗い出しを継続的に行い、資料の収集に一層努める。また不足分の資料とその収集先を確定し、国内での収集を遂行するとともに、必要であれば渡独する準備に入る。
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