本研究は、ドイツ第二帝政期におけるマリアンネ・ヴェーバー(1870-1954)に焦点をあて、ドイツ・リベラリズムの影響下で女性的主体の形成を目指した彼女の思想的挑戦と葛藤を考察したものである。とくにリベラリズム的主体と女性的主体との齟齬という困難な問題に、彼女がどう取り組んだのかについて検討した。本研究を通じて、彼女の思想は、倫理的・政治的主体としての女性に関する哲学的考察、女性政策的観点からのドイツ家族法の研究、および女性運動への実践的関わりから多面的に形成されたことを明らかにした。また彼女の思想形成において、当時の思想潮流における〈自然〉概念との対峙が重要であったことも指摘した。
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