研究課題/領域番号 |
15K01934
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研究機関 | 佛教大学 |
研究代表者 |
村瀬 敬子 佛教大学, 社会学部, 准教授 (20312134)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ジェンダー化 / 郷土料理 / 郷土食 / 伝統 / 家庭料理 / 婦人雑誌 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、郷土食/郷土料理がマスメディアにおいてどのように表象されていったのかを、1920年代から1945年までに出版された書籍や雑誌を中心に、特に「ジェンダー化」という観点から分析を行った。 書籍に関しては、タイトルに「郷土食」もしくは「郷土料理」が含まれているもののうち、1945年までに発行されたものをリスト化し、すべての書籍に目を通して、その内容の分析を行った。雑誌に関しては、戦前から発行され、戦後も四大婦人誌とされた『主婦之友』と『婦人倶楽部』の2誌を中心に、郷土食/郷土料理がどのように表象されているのかを分析した。それぞれの婦人雑誌の創刊年(『主婦之友』は1917年、『婦人倶楽部』は1920年)から1945年8月までを対象に、食に関する情報(記事、附録、広告等)の全てに目を通し、その中で地域に言及している情報を全て抜き出して、その言説分析を行った。 この他に、郷土食/郷土料理にかかわる国家の政策について、戦時期の大政翼賛会関連資料、情報委員会「週報」等の資料から、政府の郷土食/郷土料理にかかわる政策がどのようなものであったのかを調査した。 以上のことから、第一に郷土食/郷土料理の書籍や雑誌の語りが、時期によって変化していくことがわかった。特に1940年前後で大きく変容しており、郷土食/郷土料理の表象が戦時の食糧政策とかかわっていることがわかった。第二にメディアによってその語られる内容が大きく違っていることが指摘できる。このことは、そのメディアがどのような意図で出版され、誰を読者としているかといったことともかかわる。これらについては、郷土食/郷土料理のジェンダー化という観点から分析と考察を深め、論文として発表する準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、書籍と雑誌を中心として、郷土食/郷土料理のメディア表象を分析するとともに、郷土食/郷土料理にかかわる国家の政策について調査を進めた。研究実施計画では、調査対象としていた時期は、戦時期から高度成長期であったが、調査を進めているうちに、1920年代を調査する必要があることに気づき、急遽、今年度の調査対象時期を変更して、1920年代から1945年までとした。このことによって、戦前期における郷土食/郷土料理のメディア表象と国家の政策についての研究に、新たな知見を見出すことができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
研究の実施計画においては、平成27年度は書籍と雑誌のメディア表象と郷土食/郷土料理にかかわる国家の政策を分析し、平成28年度は新聞と放送(ラジオ・テレビ)を中心に郷土食/郷土料理のメディア表象を分析する予定であった。しかし「現在までの進捗状況」で述べたように、研究対象とする時期がずれたため、平成27年度に1920年代から1945年までを対象とし、平成28年度に1945年から高度成長期を対象として研究を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度は研究対象時期の変更によって、研究計画で予定していた戦後の雑誌と書籍等の調査ができなかった。そのため、資料調査のための出張費と文献購入費の一部が未使用となった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、研究対象時期の変更によって平成27年度にできなかった資料の調査・分析を行う。平成27年度に執行できなかった予算で、それらの資料の調査のための出張と文献購入を進める予定である。
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