本研究は、企業内の職場規範が女性の晩婚化・晩産化及び就業行動に与える影響について、日本・台湾・インドの三カ国を対象とし、比較検証を行うことを目的とする。特に高学歴女性に焦点を絞り、日本・台湾女性の働き方、家族関係の違いを検証することを通じ、日本女性の働き方の問題点を探るものである。 具体的な方法としてはミクロデータを用いた計量的分析とデプスインタビューによる質的調査の双方を併用する。2018年度は国内学会2回、国際学会1回の発表を行った。 ミクロデータの分析については、日本については良好なパネルデータ及びクロスセクション・データを用いた分析がすでに進行している。台湾についても良好なパネルデータが入手でき、日本と比較研究を進めている。 デプスインタビューについては、計20名の女性に対する調査を終了した。国内学会で発表を終え、今後台湾で単著論文、日本・台湾で共同論文を執筆予定である。また、台湾で共同研究者による本インタビューデータを用いた論文が掲載された。 日台比較については両国とも極出生率という共通項があるものの、就業及び家族関係については大きな違いが確認された。特に高学歴女性に絞ってみると、日本女性の無業比率が特筆すべき点であり、またその背景をより深く検証することが必要である。 また、日台比較については2020年春をめどに書籍化を予定しており、日台高学歴女性の働き方、家族関係について書籍という形で結果を残したいと考えている。
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