リニア中央新幹線は2027年に東京・名古屋間を40分で結ぶ先行開業を目指している。中間駅は神奈川県・山梨県・長野県・岐阜県に設置する予定であり、岐阜県中津川市には中間駅と併せて車両基地を設置される計画である。 そこで、「リニア名古屋駅の利用が中心となるエリア」と「リニア中間駅の利用が中心となるエリア」を併せ持つ岐阜県および中津川市とその近郊市町である恵那市に着目し、予想される経済効果の計測を行った。同時に、岐阜県の「リニア基本戦略」である観光交流人口の拡大、新たな住まい方の実現、産業活性化を実現するための地域づくりとその具体策について考察を行った。 具体的には、岐阜県駅に隣接する恵那市における「リニア中央新幹線開業と岐阜県駅に関する意識調査」を分析対象とし、まず、因子分析により、岐阜県駅と駅周辺に期待したい役割や機能と、新幹線開業による地域への影響や効果に対する意識指標を抽出する。次に共分散構造分析により、地域づくり事業に期待する機能と効果への評価を定量化し、地域住民の意識構造をモデル化することで、事業計画の検討過程において住民が重視する駅の機能や駅周辺整備を提示できるため、意義は大きいといえる。また、駅の機能や駅設置に伴う地域づくり事業について、リニア駅が設置予定である自治体(中津川市)の住民と、隣接しており距離的にも時間的にも非常に近い自治体(恵那市)の住民民との意識構造を比較検証したことにより、駅建設に伴い、協議会等の準備段階の協力体制がとられつつある中、駅と周辺施設の機能を十分認識した上で、各自治体の役割分担が求められる点を提示した。 分析内容および結果については、日本都市学会(H29.10.29)において研究報告を行い、日本都市学会年報Vol.51に査読付論文として掲載予定であり(査読付論文として受理通知あり2018.4.11.)学術的な評価も得られている。
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