研究課題/領域番号 |
15K01948
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
米田 誠司 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (30636147)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 移住政策 / 滞在型観光 / 地域経営 / アメニティ・マイグレーション / ライフスタイル・マイグレーション / 関係性構築 |
研究実績の概要 |
本研究「移住政策、滞在型観光との接合による地域経営」は、都市から地域への移住政策や滞在型観光との接合により、新たな地域経営の可能性を見出すものである。平成28年度は以下の研究を行った。 まず調査の前提となる先行研究のレビューにおいては、「クリエイティブ都市論」、「モビリティーズ」等の著書、その他論文から、定住だけでなく移動を前提にした概念構築や、滞在や移住がクリエイティビティな人材を集めやすい傾向にあるという知見を得た。 国内移住政策の政策評価及びヒアリング調査と検証については、国や地方自治体が政策立案してきた移住政策について、岩手県紫波町、京都市、和歌山市等でヒアリングを実施し、また仮説をさらに構築するための資料収集に努めた。また滞在型観光研究の第一人者である東京大学教授の西村幸夫氏を招聘し、幅広い観点から助言と指導を得た。その結果、移住者がどの時点で何を契機にして移住を決断するか、またその後の関係性をどのように構築したのかを、バックキャストで確認する手法の有効性を確認した。 北米、アジアにおける「アメニティ・マイグレーション」現地調査については、カナダのバンクーバー市、アメリカのポートランド市でヒアリング調査と現地調査を行った。その結果、両市ともアメニティの良さから多くの移住者を受入れているものの、高額所得の移住者が増えることにより、中心部でジェントリフィケーションが進展し、低所得者の排除が起きていることが明らかになった。 移住政策、滞在型観光との接合に関する仮説の構築については、地域に最初どういう契機で訪れ、その後移住につながるのかというパターンについて調査を行った。また2016年4月に発生した熊本地震によって、日帰型観光⇔宿泊型観光⇔滞在型観光⇔アメニティ・マイグレーション⇔移住⇔定住というプロセスにどのような変化があったかについて、由布院地区で調査を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究に関係する文献、論文を数多く収集し、また国内および海外で移住政策や移住地域での調査を実施し、日帰型観光⇔宿泊型観光⇔滞在型観光⇔アメニティ・マイグレーション⇔移住⇔定住というプロセスと、滞在型観光と移住、定住との接合仮説の構築の下地を整えてきた。ただ最終目標である仮説構築までにはさらなる検討を要する段階である。
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今後の研究の推進方策 |
次年度はアメニティ・マイグレーションに加えて、欧州で発生しているライフスタイル・マイグレーション現象に関する調査も実施したい。加えて3か年の最終目標である、日帰型観光⇔宿泊型観光⇔滞在型観光⇔アメニティ・マイグレーション⇔移住⇔定住というプロセスと、滞在型観光と移住、定住との接合による仮説構築のため、移住政策と滞在型観光という両側からの研究アプローチがさらに重要となる。一昨年度からの政府が進めている民泊に関する規制緩和と規制強化が今後確定するはずであり、そうした政策や実際に起きている現象、地方移住がさらに加速する中での仮説構築を急ぎたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地での調査事業を主に2か年で行う予定であったが、ライフスタイル・マイグレーションという現象について情報を得たため、3か年目も継続して調査する必要が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
ライフスタイル・マイグレーション現象についての調査実施と、移住者へのバックキャスト調査を主に実施し、仮設構築につなげていく予定である。
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