本研究は、我が国が、これまで以上の訪日観光客を受け入れていくために、その強みをより強化していく必要があるという考え方に基づいて「おもてなし」という対人対応のあり方に着目し、その実証的な検討を可能とする基盤構築を最終的な目標としている。 そもそも「おもてなし」という対人対応のあり方は、これまであまりにも漠然としたもので、「日本人らしさ」などという形で我々日本人においても明確化が十分なものとはなっていなかった。そこで本研究においては、「おもてなし」の多面性とその規定要因を実証的な国際比較を通して明らかにすることを目的とした。 こうした目的を達成するために、当該年度においては、これまでの研究知見を踏まえ、かつこれまで複数の国において実施した調査におけるデータを用いて、データセットの構築を行い、データの解析を実施した。「おもてなし」の概念規定を中心に「おもてなし」が訪日体験への満足度にどのように寄与しているかという点に関しても中心に検討を行った。具体的には調査項目を因子分析し、さらにこれら因子を変数とした回帰分析などを実施した。また別の観点から差異を検討するために、共分散構造分析を実施し、同集団内(調査対象地域)の適合モデルを構築するとともに、さらには異母集団間のモデルの違いなどの検討を実施した。さらにこうした分析の結果を元に、学術成果のとりまとめを行い、論文を公表した。
|