研究課題
平成27年度から継続してきたアイドルファンへの聞き取りをもとに、平成29年度は、学会発表論文2本と論文1本を発表した。日本のアイドルの外国人ファンも、日本人ファン同様、「茶の間」「購入」「参戦」という発展段階を示すが、テレビなどで視聴するというような日常的なファン行動が難しいため、興味を持ち始めた段階から一気に積極的な「参戦者」になるという特徴が見られた(崔・幸田・臺:2017)。日本人ファンを対象とした聞き取りでは、宿泊を伴う「遠征」と呼ばれるファン行動において、最初に参戦するのは居住地から最も近い公演地であることが多いが、次第に公演地である5大ドーム各地へと行動半径が広がり、参戦回数も増える傾向が見られた。また通常とは異なる限定公演への遠征行動をとるファンにおいては、「代替性の低さ」が誘致力を一層高めていることが確認された(幸田・臺・崔:2017)。臺・幸田・崔(2018)では、3年の研究期間における調査・研究の発表成果を整理し、「ファンツーリズム」の基本構造を把握することを目的とした。ファン行動における「会う」「見る」「楽しみの共有」「リトリート」「購入する」の5つの分類に加え、そのファン行動に影響を与える要素として「費用」「時間」「理解」を指摘、それぞれが関わるファン行動レベルを「茶の間」「購入」「参戦者」と名付けた。さらに参戦者による、宿泊を伴う「遠征」の範囲や遠征先での行動などを組み合わせて「参戦者を軸としたファンツーリズムの範囲」を図式化した。これらの整理を踏まえて、「参戦者」から「遠征」へと進むにつれて、「時間」「費用」「家族の理解」の必要度が高くなることにより、ファンツーリズムにおける階層化が発生していると考察した。これまでの研究をもとに平成30年1月中旬からWEB上で質問紙調査を実施した。研究期間は終了したが分析を進めており、発表も行う予定である。
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立教観光学紀要
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12th International Forum of Northeast Asia Tourism (INFAT), 10th International Conference by Tourism Institute of Northeast Asia (TINA)
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