研究課題/領域番号 |
15K01966
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
寺本 潔 玉川大学, 教育学部, 教授 (40167523)
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研究分担者 |
大西 宏治 富山大学, 人文学部, 准教授 (10324443)
田部 俊充 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20272875)
池 俊介 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (30176078)
永田 成文 三重大学, 教育学部, 教授 (40378279)
志村 喬 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (70345544)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 観光教育 / 観光教材 / ESD / 旅行 / 沖縄 / 地図 |
研究実績の概要 |
研究代表者である寺本は、沖縄県と高知県に出向き、観光教育の授業実践に臨んだ。沖縄では観光コンベンションビューローとも連携し、具体的な教材開発も進展し、観光マーケティング基礎や地図技能育成も盛り込んだ研究実績を得た。SGH指定校である那覇国際高校において新しい観光授業内容を盛り込んだ学習ワークを展開した。大西はGISと位置情報、ARを組み合わせたネットワークゲームであるPokemon GOやIngressを活用し地域の賑わい創出について調査するとともに、富山市中心市街地でのアクションリサーチを実施した。特に、位置情報を用いたネットワークゲームは街歩きのモチベーションを高めた。また、IGU地理教育委員会大会でいくつかの研究報告についての情報収集を行った。池は、ヨーロッパ各国の地理教育における観光的要素の活用の実態を調査し、ポルトガルの地理教育における観光の取扱いや食文化教材を調査した結果、ESDを重視した第9学年において観光開発と環境保全とのバランスに関する考察が重視されていることが明らかとなり、成果を『教科教育におけるESDの実践と課題』古今書院に発表した。志村は、学校教育現場における地図活用の促進による学習改善、世界地図・地球儀というグローバルな思考・行動を促す教材活用の検討と深い学びを生みだす教科用図書「地図帳」の活用検討を行った。さらに一般社会でも活用される地名辞典も調べた。永田は、世界遺産教育として、徳之島の高等学校において自然環境や観光地はどのような特色があるのかを踏まえ、地域の観光政策を考える地理実践を行った。田部は、リバプールに出向き、英国の観光地理教材の収集と研究を行った。本年のもう一つの実績では、ESDと観光との関連に関しても研究を進め、観光系学部教官との研究交流を寺本が日本観光研究学会に加入するなどして進めていることがあげられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
欧米の観光教育の現状をおおむね把握できており、それらを踏まえて具体的な観光教育の教材開発や実験的な授業開発に着手できている。とりわけ、沖縄県や高知県において地元の地理教材を活かした観光人材育成につなげていく教材開発が具体的に進展した。また、観光コンベンションビューローなどの関連機関との連携も生じつつあり、研究が社会的な貢献に結び付くことが予想される。 研究分担者により児童生徒の観光題材に対する興味関心を引き出し、効果的な地図教材の活用なども盛り込んだ指導法に至るレベルまで研究が進展しつつある。また、欧米の地理教育の動向やESDの動きなどとの関連も押さえることができ、次年度の課題である観光教育のカリキュラム開発に向けて貴重な一歩を記すことができている。
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今後の研究の推進方策 |
研究分担者による課題意識を授業レベルにまで引き上げることが必要である。教材開発と実際の指導法も取り入れた授業づくりに至るまでには、開きがあるため、児童生徒の実態に応じた観光授業のための指導法の工夫が引き続き求められる。 そのため、研究分担者全員が加入している日本地理教育学会(上越教育大学で開催予定)において新たに観光教育に関する実践的な教材開発のための研究グループ(申請済み)を設け、広く学会員などからの意見交換も取り入れつつ、最終年度のカリキュラム開発に向けて推進していく方策である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、いまだ海外調査や国内での実験的観光授業の展開のための旅費や物品費に使用する額が多く、人件費・謝金及びその他の支出費目が0となった。その理由としては、研究資料の整理に関する作業に伴う人件費・謝金は次年度に回すためである。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度のカリキュラム作成に至るために、収集した研究資料を整理し、カリキュラム案を作成するために人件費・謝金やその他の費目を使用する計画である。
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