研究課題/領域番号 |
15K01969
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
周藤 真也 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 准教授 (60323242)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 産業遺産 / 旧鉱山 / 遺産化 / 観光資源 / 博物館 / 世界遺産 |
研究実績の概要 |
研究第2年度であり、さらなる比較事例研究のため、積極的に現地調査を行い、情報および資料の収集に努めた。研究が当初計画よりも想定以上に進展したことから、「前倒し支払請求」を行い、平成29年度に行う予定であった現地調査の多くを本年度に行った。具体的には、8月には北欧・スウェーデン、9月には北米・カナダ、3月には南米・チリおよびボリビアを訪問し、調査活動を行うことができた。 スウェーデンでは、前年度にひきつづきベリスラーゲン・エコミュージアムおよびダーラナ県の旧鉱山地域について調査を行った。ダーラナ県は、ベリスラーゲン・エコミュージアムに含まれる西部地域だけでなく、東部地域も歴史的には銅山など非鉄金属を含む旧鉱山地域であり、スウェーデンで最初のエコミュージアムもここに存在している。双方の地域に足を運ぶことで、地域間の関係性と、鉱山や製鉄所の遺構が地域アイデンティティの一角になっている様子を観察した。 カナダでは、ユーコン準州を中心に歴史的な鉱山地域と観光との関わりについて調査した。銅山地域であったホワイトホース周辺、かつてゴールドラッシュに沸いたドーソンシティ、銀山地域でありローカルな観光地となっているメーオーやキーノーシティなど、極地の都市の多くが鉱山都市としての系譜をもっており、現代の観光との関わりを観察することができた。 ボリビアおよびチリでも、鉱山と観光との深い関わりが観察できた。ボリビアでは、ポトシをはじめとして、高地における鉱山資源の開発と観光は表裏一体のものとなっていることを確認した。チリは、現在も有力な銅産出国であるが、採掘地区や技術的な遷移は、現役の鉱山の傍らで歴史的な遺構が観光対象になりつつあることを確認した。 国内においては、エコミュージアム活動で知られる山形県朝日町の視察を行い、ひきつづき栃木県の旧足尾銅山地域を対象としたフィールドワークを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究は、当初の計画以上に進展しており、「前倒し支払請求」を行った結果、平成29年度に行う予定であった現地調査の多くを本年度に行うことができた。特に観光という現象を観察する上では、訪問するシーズンに制約がある場合が多く、次年度以降の研究計画を見越した上での判断である。その結果として、次年度以降には、当初計画よりも少し早く、研究の取りまとめに入ることができることになり、より充実した研究成果を挙げることが期待できるようになった。また、これまでの研究の中で、旅費等の節約に努めた結果、他の地域の事例の調査や、研究成果のとりまとめのため現地を再訪する可能性にも開かれてきており、当初の目標以上の研究成果を挙げることも期待できる状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究で、世界的な規模での比較研究を当初の予定よりも早期に進めることができたため、今後は比較研究を行うのに適切な他の地域の事例の調査や、研究成果のとりまとめの過程で必要となる補充調査を行いつつ、研究成果のとりまとめを中心に研究活動を行っていく。「前倒し支払請求」を行った結果、平成29年度、平成30年度は、それぞれ当初の予算額からは減額となったが、当初計画における研究のとりまとめと研究成果の発表には十分な金額を残しており、多少の時間的な余裕も生まれる中、積極的に研究成果の発表を行うなど、充実した研究のとりまとめを行いたい。
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