研究課題/領域番号 |
15K01974
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研究機関 | 筑紫女学園大学 |
研究代表者 |
森田 真也 筑紫女学園大学, 文学部, 教授 (10412686)
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研究分担者 |
城田 愛 大分県立芸術文化短期大学, その他部局等, 准教授 (80425389)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 民俗芸能 / 観光化 / 地域振興 / グローバル化 / ローカル化 / 沖縄 / エイサー |
研究実績の概要 |
本研究は期間を3年とし、民俗芸能の観光化について、グローバル化、同時に進行する再ローカル化の動きに着目して、それらの展開と特質、地域振興とアイデンティティの関わり、ネットワーク形成について現地調査を行ない、解明することを目的としている。具体的には、沖縄において旧盆に行なわれる民俗芸能「エイサー」を取り上げる。 二年目の重点課題は、エイサーの観光化、地域振興との関わり、ネットワーク形成についてである。具体的には、嘉手納町、沖縄市、うるま市、読谷村、北谷町、那覇市等のフィールドワーク(参与観察、インタビュー)を行なった。森田が主として観光化と地域振興、副としてネットワーク形成との関わりについての調査、城田が主として主としてネットワーク形成とアイデンティティ、新興のエイサー団体の調査、副として観光化と地域振興との関わりについて調査を行なった。保存会、青年会、観光関連施設、エイサー団体、各種経済関連団体、ホテル等において共同でインタビュー、旧盆での演舞、「沖縄青年ふるさとエイサー祭り」等のエイサーを主題としたイベント、沖縄県主催の「世界のウチナーンチュ大会」における演舞の記録他の現地調査を行なった。あわせて、関連資料の収集、文献を使用した基礎的研究を進めた。 二年目の調査研究において、エイサーの地域振興のためのイベント活用や観光利用において、地域の社会活動を担う青年会組織とネットワークの関係性、さらには新興のエイサー団体が活動域を増加していることがわかった。そして、それらの団体と行政や商業との結びつきの重要性が明らかになった。 なお現在、沖縄の戦後史と民俗芸能エイサーの復興に関する研究実績の一つとして、共同執筆による論文を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
二年目は、主としてエイサーを主題としたイベントと観光と地域振興の関わりについての現地調査を行なった。インタビュー、演舞の参与観察等、順調に調査は進んだと考える。また、デスワークとして、沖縄観光の現在と課題に関する資料収集と分析を進めた。 個々の調査研究に問題はないが、やや調査対象が広がっているという反省点がある。研究発表、論文化の際に調査データを複数の論点に合わせて整理する必要性を感じている。 以上のことから、研究計画の遂行に関しては、全体として「おおむね順調に進展している」と評価出来る。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(3年目)については、上記課題の研究を継続しながら、さらにネットワーク形成、移民の人々との国境を越えた繋がりとアイデンティとの関わりについて中心的に考察していきたい。沖縄おける観光化と地域振興の関わりについての調査を進めながら、ハワイにおいて開催される「ハワイ・オキナワン・フェスティバル」の現地調査を行ないたい。そして、移民の人々のエイサー実践が生み出すネットワーク、さらにはアイデンティについて考えていきたい。なお、研究費の使用計画については、主として現地調査に関する「旅費」に使用したい。 そして、最終年次として、近現代史を背景とした地域社会と民俗芸能の変容、伝統文化を活用した持続可能な観光の可能性と課題について考察をまとめたい。
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