最終年度および研究期間全体を通じて実施した研究成果は、①雑誌論文・書籍の刊行、②学会発表、③初等教育における論理的思考の授業カリキュラムの構築、の3点である。 ①は、論理的思考をめぐる学術的研究を目的としたものであり、アリストテレスを主たる題材とした自然学的および倫理学的な推論・論証のあり方を考察し、論文および書籍として発表された。また、その成果の一部は高校生向けの副読本としても刊行されたが、その韓国語訳の出版からも伺えるように、社会的に高い意義をもつ内容となっている。 ②については、①に関連する学会発表にくわえて、本研究の課題である「ICT活用による教科横断型の授業カリキュラムの構築」を視野に入れて、プログラミング教育の最新の知見について提言ならびに意見交換を行なった。その研究成果は、2020年度から義務化される「プログラミング教育」を具体的かつ効果的に実現していくために極めて有益な視点と方法を提供するものであり、今後もその継続が強く望まれる研究課題となっている。 ③は、仙台市教育委員会のタブレット端末活用校連絡協議会アドバイザーと情報モラル教育推進会議アドバイザーを兼務してきた本研究者の成果が集約されるものであり、二つに大別できる。ひとつは、仙台市教育センターおよび仙台市教育委員会と連携しながら、本研究期間中に開催された全国学会(第21回視聴覚教育総合全国大会と第68回放送教育研究会全国大会[いずれも平成29年])におけるモデル授業の公開発表である。もうひとつは、本研究期間中に蓄積してきたモデル授業案を平成28・29・30年度版としてウェブ公開(仙台市教育センター)したことである。これらはいずれも、仙台市内の小中学校教員との緊密な協力体制のもとに、ICT活用教科横断型の授業モデルの構築に取り組むことで実現できたものであり、モニュメント的な成果となっている。
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