研究課題
基盤研究(C)
本研究はカントの実践哲学における偶然性の契機について考察するものであり、この問題を特に人間の尊厳概念との関連において考察した。人間の尊厳は、普遍性や必然性という契機によって捉えられることが一般的であるが、しかし同時に唯一性や固有性といった偶然性の契機も含意している。後者に関して十分な検討がなされてこなかったことを踏まえ、本研究において、カントの理性的存在者に対して、交換不可能な唯一の傷つきやすい存在者としての特徴を読み込む可能性を検討した。
哲学