研究課題/領域番号 |
15K01986
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
哲学・倫理学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
増田 一夫 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70209435)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 脱自然化 / 家族 / 親子関係 / 性 / デリダ / フーコー / レヴィナス |
研究成果の概要 |
19世紀以降、特定の宗教集団以外において極端に人間中心主義的な認識は放棄されていった。しかし、人間は動物種に過ぎないとして、単に自然の一部に還元する思想の先に待っていた悲劇は、ナチズムによるホロコーストである。20世紀有数の哲学者とされるハイデガーも、一時的にではあれ、ナチの党員であった。本研究では、ハイデガーの思想を相続しながらも彼が落ちた罠を避け、人間を「脱自然化」しようと試みたデリダ、フーコー、レヴィナスから出発した。そして、同性婚をめぐってフランスで理論化されたテクストの分析を通じて、性(ジェンダー、セクシュアリティ)、親子関係、家族を考察した。
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自由記述の分野 |
哲学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
人新世(アントロポセン)が語られる今日、自然の保全はきわめて重要な課題である。その点を認めた上で、人間や社会における「自然」を再考する必要があると考える。「われわれ(国民)」と「彼ら(移民、外国人)」の区別を「自然化」し、固定することの問題はフランスにおいてすでに指摘されている。また、同性婚をめぐる議論において、反対派は親子関係や家族が「自然」であるべきだと主張したが、同性婚の合法化はその見解を否定した。これらの動向を紹介し、それを可能にした論理構造を分析することは、「家族」や「共同体」をめぐって血統という「自然」が特権的な地位を占めるわが国の言論にも一石を投じる意義を持つはずである。
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