研究課題/領域番号 |
15K01990
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
大須賀 史和 横浜国立大学, 大学院都市イノベーション研究院, 教授 (30302897)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ロシア / 言語哲学 |
研究実績の概要 |
本研究計画では、20世紀初頭のロシアにおける言語哲学的な議論である「名の哲学」の研究、特にソ連時代初期に独自の体系的記述を目指したA.ローセフの哲学の研究を目的とし、同時代の諸外国における哲学分野の研究成果の受容等も考慮に入れつつ、ローセフの構想の内実と今日における意義を検討することを主要課題としている。 ローセフは、古典哲学に示された世界観や人間観を基盤とし、音楽などの芸術とも共通する表現とコミュニケーションの形式について考察し、名前に代表される言葉の本質的な構造を解明しようとした。名を中心とする言葉は、それが表す対象と結びつけられた無味乾燥な記号ではなく、人間によって多層的に理解された物の姿そのものとして存在し、関係する多様な出来事の語り、すなわち歴史性が織りなす神話を常に随伴させている。これがローセフの基本的な言語観であり、言語哲学的構成を大きく規定してもいる。 その成立機序として、集合論における実無限概念や創作の主体性をめぐる議論などが先行しており、それらはこれまで想定していた以上にローセフ哲学の構成に大きく寄与していることが明らかになってきた。すなわち、世界を数学的、美的に捉える視点が言語哲学的構成にも織り込まれており、言語という存在を、それが使用される人間の生全体との関連で捉える総合的観点を形成しているということである。これらを初期の音楽論などにおいて裏付けることができた。 こうして、ローセフ哲学の構成をより立体的に描き出す糸口を得ることができたことから、最終成果にはそれらの論点も織り込む予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は昨年度とは別の形で新型コロナウィルス感染症への対応業務が複数発生したことで、本研究課題に取り組む時間の減少を余儀なくされ、成果発表の作業を完了させることができなかった。 次年度は適切な成果発表を行い、計画課題を完了させる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画では、最終年度に海外で開催される学術会議などでの報告やそこでの質疑応答などを通じて本研究計画において蓄積した成果の検証とブラッシュアップを行う予定であった。渡航制限緩和の動きを注視しつつ、研究書の公刊などの形態も含め、適切な成果発表を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症対策により研究成果を公表するための海外渡航が制限されており、また作成を予定していた成果報告書を完成させることができなかったため、旅費、印刷費ともに未使用だった。次年度はこれらのいずれか、または両方の使途を予定している。
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