フッサールの時間論に至るヨーロッパ哲学での時間論の系譜を辿るという意味で、まずアリストテレスの『自然学』とアウグスティヌスの『告白』での時間論を構造を分析し、また、John Ellis McTaggartの論文"The Unreality of Time"の時間論との比較を行った。McTaggartの論文は、観念論という存在論を前提とし、単に時間というものが経験的実在性という特性を持つものではなく、我々の意識への現出そのものとしての現前こそが「今」という時間性としての概念を保証するものであることを明らかにした。そして、フッサールの『内的時間意識の現象学』の分析を行い、そのアポリアを指摘した。
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