本研究においては、現代の科学哲学の視点から19世紀科学哲学を見直すことを主な目的として文献調査や情報収集を行った。当初の重点的な検討対象として掲げた境界設定問題、科学的実在論論争、個別科学の哲学(物理学の哲学、生物学の哲学、社会科学の哲学)において、現在の論争との共通点および相違点が浮かび上がった。また、本研究においては19世紀の英独仏三国の科学哲学における交流も大きな焦点となった。特に、実証主義的思想についてはフランスで培われた思想がイギリス起源の思想と融合し形を変えながらイギリス、ドイツ、オーストリアあるいはアメリカへと伝播していく様子を検討した。
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