本研究の目的は、カントの超越論的哲学とメルロ=ポンティの現象学を比較することによって、近現代哲学の全般的な動向を見定めることである。このことはまた、カントの基礎づけ主義の哲学とメルロ=ポンティの相対主義的・歴史主義的哲学を比較することでもある。これら二つの傾向は、近現代哲学全般のうちに見届けられるものであり、本研究の最終目的は、相反するこれら二つを架橋することである。本研究は、この課題を、単に理論的観点のみならず、実践的・倫理的観点や美学・芸術学的観点からも遂行しており、この意味において本研究は、今後の西洋哲学の研究に対して一石を投じるものである。
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