研究課題/領域番号 |
15K02013
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研究機関 | 下関市立大学 |
研究代表者 |
桐原 隆弘 下関市立大学, 経済学部, 教授 (70573450)
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研究分担者 |
今井 敦 龍谷大学, 経済学部, 教授 (10380742)
中島 邦雄 独立行政法人水産大学校, その他部局等, 教授 (00416455)
小長谷 大介 龍谷大学, 経営学部, 准教授 (70331999)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 生命倫理 / 自然倫理 |
研究実績の概要 |
研究会:平成27年度は2度開催(10月31日、12月26日)。ユンガー『技術の完成』テキストの内容についての理解を深め、今回の科研の問題意識(現代自然倫理)との接続の趣旨を確認した。 研究成果:桐原(代表者)「自然の隔離か自然の取り込みか?―文化の位置づけの観点から見たドイツ生殖医療技術論争」が代表的な成果である。当論文では、2000年代初頭、生殖医療技術をめぐってドイツで展開された哲学的・倫理学的論争に注目したうえで、日本を含めた生命・医療倫理の展望を探求した。 論文末尾で、「リンゴ一つをとってみても、それを構成する諸物質の合成と同等であると考えることはできない」という『技術の完成』におけるユンガーの言葉を引用した。初期段階の生命の微細な「部分」(配偶子や遺伝子といった「物質」)への人為的介入が、生命体「全体」にいかなる影響を及ぼすかについてはそもそもあまりに未知数が多く、これを生命の改善などと称することは短絡であること、そしてむしろ、ハーバーマスの考えるように、生命における所与の偶然的条件に(「畏怖の念」をもってしてかどうかは問わないまでも)「触れない」ことこそが、本来の人為の領域たる文化世界において、自由と平等とを実現するための唯一の条件であるということを示すためである。 もちろん、ユンガー自身はこうした自然倫理・生命倫理構想を展開しているわけではないし、またハーバーマスの自然倫理をこのような仕方で存在論的に裏付けることが適当であるかどうかも定かではない。したがって今年度は、ユンガーのもっとも新しい生命哲学に関する論考であるDie vollkommene Schpoepfungを手がかりに、分担者・協力者との討論を通じ、現代の自然倫理・生命倫理との接続をより明確化することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究会開催、論文発表を行い、十分な成果を出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
ユンガー著作Die vollkommene Schoepfungの内容を吟味検討し、現代自然・生命倫理との接続をより明確化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究会の回数が前回科研よりも減り、各自の研究テーマに取り組むことが比較的多くなったため(今後は、使用状況の確認をメール等で行う必要がある)。
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次年度使用額の使用計画 |
大きな額ではないため、今年度経費に繰り込み予定通り使用する。
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