研究課題/領域番号 |
15K02018
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
本郷 均 東京電機大学, 工学部, 教授 (00229246)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メルロ=ポンティ / ジャンケレヴィッチ / アンリ / ハイデガー / クレー / 音楽 / 言語 |
研究実績の概要 |
平成28年度においては、まず、27年度に着手したウラジミール・ジャンケレヴィッチにおける音楽論の検討、そしてミシェル・アンリの哲学における芸術論が音楽についての議論を書いていること、さらにピエール・ブーレーズがカンディンスキーよりもクレーを高く評価していたこと、この三点を手がかりとして、まずはジャンケレヴィッチとアンリにおける音楽の位置づけとして「中間領域」の意味について検討した。これは、ミシェル・アンリ哲学会第八回研究大会におけるシンポジウム「アンリ芸術論をどう読むか」において「夜と音楽」というテーマで発表した。この考察によって、メルロ=ポンティにおける音楽の意味を解明するための方向性が示されたものと考えられる。また、この考察を通じて、「中間領域」の問題と「言語」の問題が関連していることが明らかになってきた。そこで、ベルクソン、ハイデガー、メルロ=ポンティにおける「言語」の扱い方と「言語」の中間的機能についての考察を行い、音楽・絵画・言語と哲学(の可能性)との関連を論文「「中間」における言葉について」(『フィロソフィア』104号)としてまとめた。なお、27年度にハイデガーとメルロ=ポンティの身体の位置づけについて考察した論考が「サルトル、メルロ=ポンティ」(『続・ハイデガー読本』所収)として発表された。 なお、本研究と周辺的に関連する「フランス現象学の神学的転回」(『リクール読本』所収)および、本研究の成果も盛り込んだ『現代フランス哲学に学ぶ』(共著・放送大学教育振興会)も出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度(前課題)から受け継いだ平成27年度においては、まだ十分な成果として発表できる段階にまでは達していなかったものを平成28年度においては複数発表できており、また今後の見通しも立ってきている。 また平成27年度には、諸般の事情により、パリ国立図書館における遺稿調査が実施できなかったが、平成28年度については実施することができた。ただし、その時期が年度末の3月であったことから、その成果が反映されるのは、平成29年度となる。その点で、「おおむね順調」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27,28年度において得られたジャンケレヴィッチおよびアンリと関わる「音楽」についての成果に基づき、メルロ=ポンティの哲学における音楽の位置づけについて考察を進める予定である。また、これは平成28年度には行うことのできなかった、クレーの絵画における音楽性の探究を更に進めること、および、他の絵画(マティスなど)との関係についても、まだ研究が十分ではないところが多々あるため、その点を埋めていくことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
フランス国立図書館への出張を年度末の3月におこない、精算時期がずれ込んでしまったために生じた差額である。そのため、4月以降に既に支出済となっているものである。
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次年度使用額の使用計画 |
如上の理由により、今年度の使用計画に上乗せされるものではない、ということで特記事項はない。
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