一人の思想家が彼の生きた地域や時代のなかで、どのように思想活動を展開したのか。そして、その思想が後の時代において、地域のなかでどのように継承されたのか。このような、文字通りの「地に足の着いた」視点で研究することにより、個別の思想だけでなく、その時代や地域の特色を具体的に解明することができる。本研究はそのことを実践することにより、明清時代の寧紹地域の思想的特性を明らかにした。学術的意義については言うまでもないが、古来、日本と縁の深かった同地域の知られざる歴史が明らかになった点には、社会的意義も存するものと思われる。
|