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2015 年度 実施状況報告書

東アジア近代化の地域論的比較思想研究ー新出の康有為自筆資料に見る21世紀的課題ー

研究課題

研究課題/領域番号 15K02036
研究機関山梨県立大学

研究代表者

平野 和彦  山梨県立大学, 国際政策学部, 教授 (60238376)

研究分担者 中村 聡  玉川大学, リベラルアーツ学部, 教授 (80352722)
馬 燕  愛知文教大学, 人文学部, 講師 (80734300)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2020-03-31
キーワード仏教思想 / 日中人物交流 / プロテスタント宣教師 / 西洋思想 / 異文化理解 / 中国人留学生 / 詩と思想 / 詩と歴史
研究実績の概要

初年度研究計画は、研究課題サブタイトルに掲げた、新出の康有為自筆資料のうち、主に「詩」の翻字、読解を主要共同研究内容として、国内で三回の研究会、中国青島の青島康有為故居記念館において、研究代表者、分担者、協力者である青島康有為故居紀念館館長、及び青島在住の康有為関係者、青島郷土史研究者等が一同に会して、2015年8月、「第一回康有為研究会」を開催した。
また、上記共同研究の補充活動として、2016年3月、台湾の研究協力者と研究代表者によって、当該資料の読解について討論を行った。その結果、『康有為全集』等の先行研究に、多くの部分で翻刻、読解上の誤読が存在することが判明。誤読の主な理由として、康有為の仏教思想についての研究が不足することが挙げられ、それら先行研究の不足部分について、相応の研究成果を発表できる段階にまで至ることができた。今後、特に康有為の仏教思想からの影響を念頭において、更に詳細に読解研究に当たるため、この分野の研究指導を仰ぐことの出来る、中国、台湾、日本の研究者ネットワークを拡大構築していく必要性を認識できた。また、今年度内にそれら研究成果を順次発表していく準備が整っている。
康有為の海外生活16年間における異文化理解については、例えば、青島康有為故居紀念館の収蔵に係る収集文物が、ヨーロッパやエジプトなどのものが多数あることから、康有為自著による『列国遊記』との比較検証を進めているところである。初年度研究対象の「詩」中にも、その異文化理解の端緒をうかがうことが出来るものがある。また、康有為の中国青年に対する留学支援等については、日本国内の図書館に未公開資料が多く蔵されていることがわかり、今年度に向けてその研究を継続する。
清末に渡来したプロテスタント宣教師が導入した西欧の新知識と康有為の関係については、鋭意研究を継続し相応の成果を得つつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

共同研究課題のサブタイトルに掲げた資料読解は、草書の翻字についてはほぼ順調に進めてきている。ところが、台湾での共同研究者との研究で、康有為の「詩」の解釈に当たって、中国、台湾の先行研究共に誤読がある可能際が高いことが判明した。康有為思想は、朱子学的思想と西欧思想に加え、仏教思想が大いに関係してくることが一点、先行研究がそれへの注意に至らなかったことが一点。また、上海市文史保管委員会文献研究部編『康有為遺稿ー万木草堂詩集』が定本とした書写本が、蒋貴麟編『康南海先生遺著彙刊』の定本と同じである可能性を認識するに至ったが、その書写底本と、今般得られた康有為自筆の新資料とを比較検証して先行研究と対比を行うためには、現在上海に保管される康有為自筆資料を閲覧する必要がある。
しかしながら、研究初年度の段階ではその当初目的を達するための閲覧許可を得られなかった。今年度の再渡航研究で、この資料の閲覧機会を得たいと考えている。この資料閲覧の実現が遅れていることから、新出資料との比較検証が行えず、先行研究に対する指摘のみに止まらざるを得ないのが実情である。
この進捗状況が、「東アジアの近代化」を論じる本研究課題の新しい視点を探る根拠または契機になるため、これを喫緊の課題として捉えているところである。

今後の研究の推進方策

台湾の研究協力者と面会し、今後の研究において、仏教思想に関係する詩文の読解について定期的に台湾を訪問し共同研究を行っていくことを約した。謝金等の問題は今後解決していかなければならないが、当面は、メールのやり取りで可能なところまで研究を進め、9月に研究代表者が渡航予定である。
プロテスタント宣教師と康有為の西欧知識との関係、康有為の海外における異文化理解、留学生支援を含む日中人物交流については、それぞれ現在入手済みの資料を根拠に継続研究を行い、随時、この三方面の研究成果について連携を強化していく。

次年度使用額が生じた理由

2015年8月に開催した中国青島での康有為研究会において、相手方の意向で謝金を受け取ることが出来ない事情が生じ、持参した謝金を支払わずそのまま全額返金したため。

次年度使用額の使用計画

上海、台湾等の出張旅費等の経費に充てる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)

  • [国際共同研究] 青島康有為故居紀念館(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      青島康有為故居紀念館
  • [雑誌論文] プロテスタント宣教師文献とアジアの近代化2016

    • 著者名/発表者名
      中村聡
    • 雑誌名

      『三田学会雑誌』(慶應義塾経済学会)

      巻: 第108巻4号 ページ: p.27-p.36

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 江戸後期より明治初期に至る科学の進歩と科学教育の研究2016

    • 著者名/発表者名
      中村聡(共著)
    • 雑誌名

      『玉川大学学術研究所紀要』

      巻: 第21号 ページ: p.19-p.28

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 康有為と中国人日本留学――史料調査を通じて――2015

    • 著者名/発表者名
      馬燕
    • 雑誌名

      中国古典学会『中国古典研究』

      巻: 第57巻 ページ: p.70 -p.79

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] プロテスタント宣教師著作文献と東アジアの近代2015

    • 著者名/発表者名
      中村聡
    • 学会等名
      中華圏プロテスタント研究会-明治学院大学キリスト教研究所
    • 発表場所
      明治学院大学
    • 年月日
      2015-11-05 – 2015-11-05
    • 招待講演
  • [学会発表] プロテスタント宣教師と東アジアの近代2015

    • 著者名/発表者名
      中村聡
    • 学会等名
      慶應義塾経済学会コンファレンス下田セミナー
    • 発表場所
      静岡県下田市
    • 年月日
      2015-09-13 – 2015-09-13
    • 招待講演
  • [学会・シンポジウム開催] 康有為研究会2015

    • 発表場所
      中華人民共和国山東省青島市康有為故居紀念館
    • 年月日
      2015-08-25 – 2015-08-28

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公開日: 2017-01-06   更新日: 2022-02-07  

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