研究課題/領域番号 |
15K02039
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
加藤 隆宏 東京大学, 人文社会系研究科, 助教 (80637934)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バースカラ / バガヴァッドギーター / カシミール版 / ヴェーダーンタ / 写本 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、9世紀頃のインドに現れた思想家バースカラの著作である『バガヴァッドギーター註解』のテクスト校訂研究を行い、研究代表者が2006年より継続してきたバースカラ研究プロジェクトをさらに一歩進めることである。具体的には、写本等の資料に基づき、1965年に出版されたバースカラの『バガヴァッドギーター』初版に見られる不備を解消してまったく新しい校訂テクストを作成することを第一の目的とする。バースカラのヴェーダーンタ思想はこれまでほとんど研究されてこなかったが、申請者によって準備された『ブラフマスートラ註解』のテクスト校訂・訳註研究による成果に加え、新たに『バガヴァッドギーター註解』の信頼できるエディションを準備し、その成果を学界に広く問うものである。 平成27年度は、当初の計画通り、1965年に出版されたSubhadra Jhaの手による初版本のデータ化を行い、内容の精査に着手した。刊本は201ページからなり、デーヴァナーガリー文字による本文と写本の異読情報を含む脚注より構成されている。実際の作業として、刊本の情報を本文、脚注ともにすべてデータ化した。作成されたテクストデータは、新たに作成されるエディションの下地となり、またデータベースとして蓄積され、今後行われる写本との照合作業の際に活用されることになる。 平成27年7月にはタイのバンコクにて開催された国際サンスクリット学会において、バースカラの引用するウパニシャッドの章句についての発表を行った。また、同年9月に行われた日本印度学仏教学会においては、バースカラが引用するいわゆるカシミール版ギーターと流布版との異同について、主に諸註釈家の解釈の相違に焦点を当てながら考察し、論文"Interpretation of the BhG II.11"としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はほぼ当初の計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画通りに研究を進める予定である。27年度には2つの国際学会で研究成果を発表する機会があった。今後もなるべく多くの機会を見つけて国際学会に参加し、研究成果を広くアピールしていきたい。
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