研究課題
基盤研究(C)
紀元後9世紀後半頃のカシミールの学匠ジャヤンタが著した『論理の花房』の真理論・誤謬論を取り上げ、写本に基づいたテキストの再校訂、および、それに基づいた和訳研究・思想史研究を行い、順次、成果を誌上に公表した。先行研究の欠を補うべく、真理論・誤謬論研究の中で、これまで資料として十分に活用されてこなかった『論理の花房』について、今後の研究者が容易に利用できるよう、文献学および思想史研究の観点から、確実な資料整備と正確な文献解読を行った。
インド哲学,インド仏教学
紀元後900年頃のインド哲学の実像を詳細に残す資料として知られる『論理の花房』であるが、インドからの出版本は、いまだ校訂が不十分である。そこで、インドから写本を複写蒐集すると共に、写本に基づいて新たな批判校訂本を作成した。世界中の研究者の今後の利用に資するよう英文による解題および詳細なテキスト構成分析も示した。さらに、そうして作成した新たな校訂本に基づいて詳細な脚注とともに和訳を作成した。インド哲学における真理論と錯誤論について、信頼できる資料を利用可能な形で広く提供することができた。