20世紀初頭、大谷探検隊が新疆省ウイグル自治区より将来したウイグル語写本は、約3000件を数える。そのうちの90%を占めるのが仏教関連のものである。羽田明・山田信夫(編)「大谷探検隊将来ウイグル字資料目録」(『西域文化研究』四、1961年)はその基礎的な目録であるが、研究の進展にともない改訂が求められていた。申請者は、ドイツやロシアの関連機関に所蔵されるウイグル語仏典と大谷探検隊資料を比較し、新たに約60件の断片の内容を特定することができた。その成果の一部は、個別の論文として発表している。この度の成果は、より精密な目録を作成するための土台となるものである。今後、さらなる比較研究が求められる。
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