本研究は、宗教メディアに着目して近代日本宗教史を再検討し、それを近代と宗教というより大きな問題につなげて考察しようとしたものである。 具体的な成果として、仏教新聞である『明教新誌』の明治12年から24年までの目次を作成して公開し、その性格について検討した。キリスト教総合雑誌である『六合雑誌』について、明治前期の論説の内容を検討し、幾つかの翻訳論説については英文の原文との内容比較を行った。 また明治前期における仏教者のキリスト教観について、批判が基調ではあるが、キリスト者の実践、特に教えの説き方については見習うべき点があるとして、そこから自らのあり方を振り返るような議論も見られたことを指摘した。
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