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2016 年度 実施状況報告書

アラウィー派主要教義と宗派対立に関する思想史的研究

研究課題

研究課題/領域番号 15K02070
研究機関東京大学

研究代表者

菊地 達也  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 准教授 (40383385)

研究分担者 鎌田 繁  東京大学, 東洋文化研究所, 名誉教授 (70152840)
柳橋 博之  東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (70220192)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードアラウィー派 / ドゥルーズ派 / イスマーイール派 / シーア派 / 十二イマーム派
研究実績の概要

本年度は、アラウィー派の比較対象として、あるいは11世紀当時の彼らの思想状況を探るための素材として重要なドゥルーズ派の研究に力を入れた。その成果は幾つかの研究発表と共著において公表された。11世紀に成立したとされる彼らの聖典『英知の書簡集』はその重要性にもかかわらず世界的にその研究は進んでいないが(特に後半部)、本年度は、『英知の書簡集』の初の日本語部分訳を含む研究ノートを発表することができた。その他には科研費成果報告書の一章として「イスラム少数派によるキリスト教徒、ユダヤ教徒への宣教」を執筆することができ、ドゥルーズ派のようなイスラム少数派とキリスト教徒、ユダヤ教徒の関係の一端を明らかにすることができ、口頭発表“Surviving Strategies of the Druzes”においては、現代におけるイスラム少数派が直面する難題と彼らの生き残り戦略について分析することができた。
『アラウィー派の遺産シリーズ』の分析も順調に進んでいる。2016年7月の口頭発表では、アラウィー派の事実上の創始者ハスィービーの思想とその背景に関する現時点での分析を発表することができた。写本資料の不足、周辺状況の不透明さなど克服すべき課題は残っているが、同時代に同地域で活動していただけでなく宗教的にも類似したドゥルーズ派の関連資料を利用することで研究を一定程度進めることができた。
現地情勢の悪化などにより欧米あるいは中東での資料収集は実施できなかったが、国内書店やインターネットを通じて一定の資料は集められたので、特に問題は起きなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

テクストの読み込み作業は予定通り進んでおり、アラウィー派と比較する対象となるドゥルーズ派については特に進展が見られた。現地と欧米での資料収集はできなかったが、日本の書店を通じてある程度の資料を入手することができ、ネット上で公開されている現地語資料を利用することもできた。

今後の研究の推進方策

おおむね順調に進んでいるので、当初の予定通り研究を進めていきたい。特に11世紀のドゥルーズ派の思想とその周辺状況は、未解明な点が多い当時のアラウィー派を理解するための前提として重視していきたい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 「『英知の書簡集』の宇宙創成論:「真理の開示」翻訳(1)」2017

    • 著者名/発表者名
      菊地達也
    • 雑誌名

      『慶應義塾大学言語文化研究所紀要』

      巻: 48 ページ: 227-237

  • [雑誌論文] 「洗浄用の水をめぐる法学説とハディースについて」2016

    • 著者名/発表者名
      柳橋博之
    • 雑誌名

      『西南アジア研究』

      巻: 85 ページ: 1-17

    • 査読あり
  • [学会発表] “Surviving Strategies of the Druzes”2017

    • 著者名/発表者名
      Tatsuya KIKUCHI
    • 学会等名
      Studies on Religious and Socio-Political Minority Groups in Middle Eastern Societies, 2nd Meeting
    • 発表場所
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所(東京都府中市)
    • 年月日
      2017-03-04 – 2017-03-04
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 「アラウィー派創始者ハスィービーの思想とその背景」2016

    • 著者名/発表者名
      菊地達也
    • 学会等名
      東京大学中東地域センター・福山市立大学都市経営学部、共催:科学研究費基盤B「中東・北アフリカ地域のイスラーム圏の少数派と弱者に関する総合的研究」
    • 発表場所
      福山市立大学(広島県福山市)
    • 年月日
      2016-07-08 – 2016-07-08
    • 招待講演
  • [学会発表] 「イスラム教のウンマ体制下における諸宗教・諸宗派:イスラム少数派によるキリスト教徒・ユダヤ教徒への宣教」2016

    • 著者名/発表者名
      菊地達也
    • 学会等名
      「基盤A ユダヤ・イスラーム宗教共同体の起源と特性に関する文明史的研究」研究会
    • 発表場所
      東京大学駒場キャンパス(東京都目黒区)
    • 年月日
      2016-05-14 – 2016-05-14
    • 招待講演
  • [学会発表] 「クルアーンにおける意味の多層性とイスラームの展開 (Multilayer Structure of the Meaning in the Qur'anic Text and the Development of Islam)」2016

    • 著者名/発表者名
      鎌田繁
    • 学会等名
      圓佛教100周年圓光大学校開校70周年記念 国際学術大会
    • 発表場所
      圓光大学校(韓国益山市)
    • 年月日
      2016-04-29 – 2016-04-29
    • 国際学会 / 招待講演
  • [図書] 『死者はどこへいくのか:死をめぐる人類五〇〇〇年の歴史』(「第四章 イスラム教における死生観と死後の世界」を担当)2017

    • 著者名/発表者名
      大城道則(編著)伊藤由希子・菊地達也・設楽博己・竹内整一・月本昭男・久恒晃代・松村一男(著)
    • 総ページ数
      262(104-131)
    • 出版者
      河出書房新社
  • [図書] 『霊と交流する人びと:媒介者の宗教史 上巻』(「「媒介者」をめぐるスンナ派(多数派)とシーア派の相克」を担当)2017

    • 著者名/発表者名
      杉木恒彦・高井啓介(編)杉木恒彦・高井啓介・田口博子・山本孟・青柳かおる・菊地達也・サランゴワ・井ノ口哲也・加瀬直弥・森雅秀・藤本拓也・福寛美(著)
    • 総ページ数
      322(105-128)
    • 出版者
      リトン社

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公開日: 2018-01-16  

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