本研究は、「西洋古代末期において、キリスト教神学がどのような思考過程を経て形成され、中世以降のキリスト教世界の基盤となる神学に発展したか」を明らかにするという目的のもと、古代キリスト教教父アウグスティヌスの思想における言語理論の展開を分析することによって、その理論が神学を形成していく思考の実態を解明した。これによって、アウグスティヌスがその言語理論を展開しながら、初期から後期に至るまで一貫して「嘘」の概念に注目していること、そしてその概念の深化が固有の人間理解を形成していること、その人間理解が、「原罪」など中世以降に大きな影響を及ぼしたキリスト教神学の議論に直接寄与していることを明らかにした。
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