本研究は、18世紀フランスにおける中国表象のあり方を、『百科全書』とその周辺文献を対象として、包括的に明らかにすることを目的としていた。当時、中国はヨーロッパ自身を批判的に検証するための鏡であり、多くの著述家は中国を論じながらヨーロッパについて語っていた。『百科全書』はまさにその論争の場として機能しており、ディドロ、ジョクール、ドルバックなどが、さまざまな角度から中国に言及した。その際、百科全書派の人々は旅行記をはじめとする先行文献を取捨選択しつつ利用した。そのような典拠文献との対比的読解を通じて、『百科全書』における中国表象のあり方を実証的に示したことが、本研究の成果である。
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