研究課題/領域番号 |
15K02078
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
思想史
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
王寺 賢太 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (90402809)
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研究協力者 |
ゴッジ ジャンルイジ ピサ大学, 名誉教授
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 唯物論 / 政治的自由主義 / 政治経済学 / (反)フィジオクラシー / 所有権 / 労働 / 文明化 |
研究成果の概要 |
ディドロの政治論に顕著な時局的性格は、自然史的過程のなかで政治体を捉え、時宜に応じた政治体維持の方策を模索する唯物論の立場から派生する。その政治経済学への関心も、個体と種の保存を政治の究極の目標とする生理学的・自然誌的観点に根差していた。だがディドロは、そこからケネーらのように政治経済秩序の功利主義的最適化には向かわず、性的欲望・性的関係の次元の自律性を積極的に肯定し、政治的権力関係に対して社会空間の自律性を維持することを志向する。彼の「文明化」の理想も、所有権と労働の主体の確立から出発し、自律的な社会空間の形成を介して、自由な政治的主体の形成を目論む政治的・歴史的プログラムだった。
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自由記述の分野 |
社会思想史、フランス文学・思想
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果によれば、ディドロは、政治的自由主義(「資本主義と民主主義の結婚」の理想)と同時に、解放の大きな物語(「文明化」を目指す政治)の先駆者であった。さらに、この両側面は、生理学・自然誌に根差す唯物論によって基礎づけられた(生政治)。これら一連の視点は、啓蒙の政治理念が、今日なおどこまで有効であるかを考察する際に不可欠であろう。4年間に発表された仏語論文6本・邦語論文3本(近刊含む)は、ディドロ研究・『両インド史』研究の分野で高い評価を受け、研究代表者は2016年からは、『両インド史』批評校訂版編纂委員会共同ディレクターとして、遅滞してきたプロジェクトの再始動にも貢献した。
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