研究課題/領域番号 |
15K02081
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
出村 和彦 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (30237028)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アウグスティヌス / 貧困 / 富 / 徳 / 徳倫理学 / 古代末期 |
研究実績の概要 |
原典テクストの読解を進めながら、教父研究会、日本倫理学会等で、古代末期思想や徳倫理学に関する最新の情報を収集するとともに、国内外の研究者とのディスカッションで本研究課題の立ち位置の新規性とその進むべき方向を確認した。発表としては、 1.2016年7月29日にオーストラリアカトリック大学初期キリスト教研究センターにおけるセミナーでの提題者として、'Diagnosis and Care of the Self;Poverty and Diseases in Augustine’s Confessions’ と題する本研究課題の研究の一端を発表し、突っ込んだ議論を行った。その結果、富と貧困の徳理論が、病や老齢の理解にも密接に関連するという知見を確認するとともに、関連する国際的研究グループ(ReMeDHe-L=Religion,Medicine, Disability, Healthcare in Late Antiquity)への参加を招請されるに至った。 2.2016年9月9日,サンクトペテルブルク(ロシア)での第10回アジア環太平洋初期キリスト教学会国際研究集会に参加し、‘The Survival of Philosophia:in the Case of Augustine’と題する発表で、本課題の根本にある哲学philosophiaに関わるフマニタース概念を取り上げ、東方修道制理解との対比でその西方での展開の独自性について、キケロとアウグスティヌスのテクストに基づいて指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
応募時点では予想していなかった本務校での管理職の職務がかかってきて、特に、28年度は通常の研究科の管理運営に加えて、大学院改組・新大学院設置の準備作業に忙殺された。そのため、前年度繰り越したイタリアでの調査を行うことができず、さらに、国外の研究者から示唆を生かす研究活動に集中することができず、成果を論文としては発表するに至っていないので、現時点ではやや遅れていると考えざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
新年度早急にイタリアへの調査を実行して、資料の不足を補う。 また、シカゴでの北米教父学会(NAPS)研究集会に出席して、ReMeDHe-Lのワークショップや研究発表に参加して今後どのように本課題研究をまとめ上げていったらよいか、教父研究会や9月メルボルンでのアジア環太平洋初期キリスト教学会研究集会等で関連する研究者たちのアドバイスも受けつつ研究計画を遂行していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要となったイタリアでの調査のために前年度から旅費分を取り残しておいたが、それについて当該年度実施できなかったことによる。その他、資料整理の人件費を執行しておらず、研究者を岡山に招いてのセミナーも開催できないでいるため
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次年度使用額の使用計画 |
29年5月に取り急ぎイタリアへの調査を実施する。場合によっては夏に追加調査をする。これらの資料を整理し、また、岡山でのセミナーを計画して成果を広く発表できるようにする。
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