研究実績の概要 |
27年度行なってきた研究では、江戸初期以降の日本思想システム(仏・神・儒)はキリスト教との交流によってどのように成立・発展してきたということを検討してきた。 研究方法としては、不干斎ハビアンの教理書である『妙貞問答』を軸に仏・神・儒の後生・救済、倫理、そして究極原理におけるそれぞれの言説を検討しながら、どのようにお互いが意味解釈されたきたかを追求することによって、東・西の共有する精神的遺産を究明してきた。 この年度はケンブリッジ大学名誉教授であるリチャードバウリング先生と協力して、『妙貞問答』の完全英訳ができ、一冊の書籍として発表することができた。翻訳だけではなく、研究編もあり、その中で、『妙貞問答』を江戸思想界における位置づけを究明する序論もキリスト教のデウスという最高原理と禅や他の仏教宗派で説かれた「空」や「無」との比較の論文も、完成・発表できた。刊行した書籍は The Myotei Dialogues: A Japanese Christian Critique of Native Traditions. NUS Series. Brill, Leiden. Co-edited with Richard Bowring, 2015. 下記の論文の方は "The Myotei Dialogues in Early Edo Thought" co-authored with Richard Bowring, in Baskind and Bowring, 2015, pp. 3-15 そして、"Emptiness and Nothingness in Habian's Critique of Buddhism" in Baskind and Bowring, 2015, pp. 16-30ということである。
|