研究実績の概要 |
平成28年度行なってきた研究では、近世初期のキリスト教と仏教との交流史が主で、その中軸として、不干斎ハビアンの『妙貞問答』とアレッサンドロ・ヴァーリアノーの『日本カテキズモ』との後生観をめぐる比較を考察した。その中、キリスト教の「天国・天堂」(Heaven)と浄土教の「極楽浄土」を比較対照した結果、両宗教や文明の存在論・科学言説に関する根本的相違を明らかにすることができた。この研究成果を基にして、二つの論文を完成することができ、両方の掲載予定も確定した。その論文は ①“The Pure Land Is No Heaven: Habian's Myotei Dialogues, Valignano's Japanese Catechism, and Discourse on the Afterlife during Japan's Christian Century” History of Religions (査読あり) ② 「キリスト教から見た日本の宗教・日本から見たキリスト教」『シリーズ・日本宗教史』第2巻『世界のなかの日本宗教』吉川弘文館 掲載予定 (依頼) 日本の浄土観についてもう一つの論文を発表することができた。それは ③海を渡った日本の姫君の行方―黄檗僧独湛性瑩の『当麻寺化仏織造藕糸西方聖境図説』と中国における当麻曼荼羅・中将姫伝説の一考察 日本仏教綜合研究 第14号 (2015年度号), May, 2016, pp. 153-175. 査読あり ということである。
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