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2018 年度 研究成果報告書

『百科全書』にみる科学の歴史と進歩の哲学:そのイデオロギーと読者戦略

研究課題

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研究課題/領域番号 15K02085
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
研究分野 思想史
研究機関青山学院大学

研究代表者

井田 尚  青山学院大学, 文学部, 教授 (10339517)

研究期間 (年度) 2015-10-21 – 2019-03-31
キーワード百科全書 / 科学史 / 哲学史 / 進歩 / ディドロ / イデオロギー
研究成果の概要

本研究では、科学アカデミー終身書記フォントネルが物故会員に捧げた称賛演説などに反映された進歩史的な科学観を皮切りに『百科全書』における科学の歴史の叙述の分析に取り組むとともに、『百科全書』が掲げた進歩の哲学の党派的言説をテキストのレベルで支える具体的な読者戦略の解明にも取り組んだ。
その結果、ディドロが執筆したとされる無署名項目の典拠と著者の同定に成功した。さらに、ディドロが執筆した哲学史項目群も、古代異教徒の諸国民の宗教や古今の哲学者の思想の歴史を淡々と紹介するかに見えて、『百科全書』の進歩の哲学と周到なテキスト戦略に裏打ちされた啓蒙主義的な言説として構築されていることを明らかにした。

自由記述の分野

十八世紀フランス思想

研究成果の学術的意義や社会的意義

本研究では、伝統批判と学問知の再編成によって近代的な世界観への転換を促した『百科全書』の諸項目で叙述されている科学と哲学の歴史において、一見客観的な辞書の項目の装いの下に、進歩の哲学という百科全書派に通底する党派的な価値観への賛同を読者公衆から獲得することを目的としたテキスト戦略がいかに周到に張り巡らされているかを明らかにできた。
現代民主主義社会では普遍的な理念とされている啓蒙思想を『百科全書』という書物の具体的な記述を通じて捉え直すことで、検閲や敵対勢力の反応を意識しつつ読者公衆の支持の獲得を目指すイデオロギー的言説としての啓蒙思想のテキスト戦略の諸相に光を当てた意義は大きい。

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公開日: 2020-03-30  

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