本研究は、摂関期・院政期における文人貴族と僧侶の思想を、菅原文時(899~981)と永観(1033~1111)を起点に、周縁の人物や作品についての研究を推進することを目的とした。菅原文時は、菅原道真の孫で、慶滋保胤・大江匡衡らの師であった。永観は東大寺僧で、『往生拾因』『往生講式』などの著作がある。本研究では、これらに加え、永観が参照した天台本覚思想文献の『心性罪福因縁集』の思想内容と註釈を行い、著書・論文を執筆し、講演などで成果を公表した。その集大成として、2018年12月8~9日、国際シンポジウム「東アジア文化交流―呉越・高麗と平安文化―」を開催した。
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