研究課題/領域番号 |
15K02092
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
佐藤 トゥイウェン 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (80734079)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ベトナムの儒教思想史 / ベトナムの伝統論理 / ベトナムの文化史 / 「家訓」文献 / 女訓 / 家庭教育 / 字喃資料 / ベトナム語 |
研究実績の概要 |
本年度は昨年度引き続き、ベトナム人の儒者が編纂した「家訓」の代表的な文献とベトナムに流布した中国の「家訓」の代表的な文献につき、これらの諸文献の成立年代、作者の経歴、文献の内容を分析し、ベトナムの伝統女性観、ベトナムの儒教的女子教育理念および伝統的家庭教育・倫理の特色を明らかにする。研究活動の成果は関西大学東西学術研究所第19回研究例会「東アジア宗教儀礼研究班」(2017年12月)や、“回顧与展望:東亜視域中的朱子学与陽明学”国際学術大会(2017年10月)や、中国四国歴史学地理学協会2017年度大会(2017年6月)や、東アジア文化交渉学会第9回国際学術大会(2017年5月)において報告した。論文は『東西学術研究所紀要』第50輯(2017年4月、関西大学)、『東アジア文化交渉研究』第10号(2017年3月)に投稿した。また、独立行政法人日本学術振興会から年度28年度科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(研究成果公開促進費)「学術図書」(課題番号16HP5006)の助成を受けて、2017年2月に東方書店より『ベトナムにおける「二十四孝」の研究』について刊行された。慶應義塾大学の嶋尾稔教授による書評「ベトナムの孝子説話に関する稀代の研究書:『ベトナムにおける「二十四孝」の研究』」(『東方』445号、2018年3月)は若干の問題点を指摘しつつも、全体として本書を高く評価してくれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベトナム・フランスに所蔵されているベトナムの「家訓」文献をほぼ複写した。このうち、ベトナム人の儒者が編纂された代表的な「家訓」文献や中国からベトナムに伝わった代表的な「家訓」文献を考察しつつ、伝統的女子教育理念、女性観などの内容を分析した。この意味でおおむね順調していると思っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度(4月~31年3月)の研究計画は以下のとおりである。 平成29年度を引き続き、ベトナムの「家訓」文献のうち、「女訓」文献、中国からベトナムに伝わった有名な「家訓」文献につき、文献の成立年代、作者の経歴、文献の内容を分析し、両国の教育理念、女性観などの伝統的家庭教育・倫理の特色について考察する。 また、字喃で翻案もしくは解説された代表的「家訓」文献の訳注作成を完成させる。 さらに、『朱子家政』、『明道家訓』、さらには『顔氏家訓』を始めとする中国の家訓書を取り上げ、ベトナムの家訓書およびその思想が中国からどの程度影響を受けているのか、その受容、変遷を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、アルバイトをしてくれる学生たちのご都合により、資料処理の作業があまり進めないことにより、次年度使用額が生じた。 今年度は資料処理の作業が進めるためにアルバイトをしてくれる人が何人かをお願いすること、フランスでまだ複写しなかった儒教や「家訓」に関わる文献を複写するため資料調査に行くこととする予定である。
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