| 研究課題/領域番号 |
15K02099
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| 研究機関 | お茶の水女子大学 |
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研究代表者 |
福田 千絵 お茶の水女子大学, 比較日本学教育研究センター, 研究協力員 (10345415)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | 日本 / 伝統音楽 / 様式 / 楽器 / 近代後期 / 箏 / 尺八 / 三味線 |
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| 研究実績の概要 |
本研究は、日本の伝統音楽の転換期と言える、1920年代から30年代に焦点を当て、新様式・新楽器の発表機会であった演奏会の分析を通して、1935年を頂点とする新しい潮流の実情を明らかにすることを目的としている。
平成28年度は、研究対象についての主要な文献である雑誌『三曲』に掲載された演奏会プログラムを資料集としてまとめ、データ化を行い、新様式の童曲について分析・考察を行った。
1)前年度までに抽出した『三曲』に掲載された箏・尺八・三味線等の演奏会プログラムに、検討を加えたうえで資料集として冊子にまとめた。2)資料集を利用し、演奏会データの入力・整理に着手した。点数が膨大にあるため、データ整理は、新様式・新楽器の観点から該当データを抽出し、曲目、楽器、演奏者、演奏会場等を整理することとした。3)韓国人研究者の協力を得て、『三曲』および『京城日報』を用い、植民地朝鮮における尺八演奏会について分析・考察を行い、成果を発表した。4)台湾における邦楽演奏会についても引き続き調査を行った。5)資料集をもとに、箏を用いた子供のための歌曲である童曲についてデータを整理した。
以上の研究は、1920年代～30年代にかけての新しい邦楽の潮流が、日本の内地および外地の各地でどのように展開されていたのかを明らかにする基礎研究である。今年度の成果発表は、前年度から継続していた植民地朝鮮における邦楽についてのみであったが、特筆すべきは資料集の作成とその活用であった。資料集の活用により、効率よく演奏会の分析を行うことができるようになり、その結果、童曲の分析が進展し、新様式・新楽器についてもデータ整理が進み、今後の分析・考察を容易に行うことができる状況となった。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の平成28年度における研究は、おおむね順調に進展した。理由は、次の通りである。
1)前年度において、主要文献である『三曲』に掲載されている膨大な数の演奏会プログラムをすべて抽出したが、そのままでは利用が難しかった。本年度は、資料集として冊子にまとめたことで、作業が効率よくできるようになり、分析が進展した。2)『三曲』の演奏会プログラムおよび彙報欄を中心に分析を行い、新様式・新楽器の出現と演奏会での公開について、アウトラインを把握することができた。詳しい分析は着手しているものの、すべてのデータについて完了するまでには至っていない。次年度も引き続き詳しいデータの整理・分析を続行する。3)前年度に課題として残されていた童曲について、曲目と演奏者の分析を行うことができた。成果発表は次年度に行う予定である。4)前年度から継続していた植民地朝鮮における邦楽について成果発表を行うことができた。
平成28年度は、資料集をまとめたことによって作業の効率化が図られ、作業が進展した。その反面、膨大なデータ分析を完了するまでには至っておらず、そのために童曲、新様式、新楽器等についての個別の研究が中途になり、分析の完了と成果発表は次年度に持ち越されている。
以上のように、全体としては予定通りの方向に研究が進行中であるが、成果発表に至る水準まで分析が進んでいないため、（2）おおむね順調に進展している、とした。
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| 今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、これまでの研究内容を進展させ、個別テーマでの成果発表を行う予定である。
1)童曲について、曲目、演奏者等を整理した成果を発表する。2)植民地朝鮮で行われた尺八演奏会について、今年度の成果をふまえ、その中から新様式の曲に注目し、考察を行い成果発表を行う。3)新楽器開発および新様式の曲目について、『三曲』における演奏会情報を元にデータ整理を進める。データ整理は、平成26年度に完成した『三曲』演奏会データベースを利用し、曲目、楽器、演奏者、演奏会場等を追加入力し、作成を進める。4)前年度までの研究において、新楽器および新様式の発表について、主要な人物が数名いることが明らかになっている。その人物に着目し、広く文献を収集し、分析・考察を深める。5)新楽器については、当時の楽器を所蔵している楽器博物館等において調査を行う。
以上のように、次年度は、成果発表、データ整理の続行、博物館等における調査を予定している。最終年度の研究のまとめに向けてさらに研究テーマの内容を深めていく。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
研究発表のために旅費を使用する予定であったが、論文発表のみで出張を行わなかったため、旅費を使用しなかった。
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| 次年度使用額の使用計画 |
次年度は、研究成果の公表および楽器調査のために遠方に出張する計画がある。
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