本研究は、日本の伝統音楽の転換期といえる1920年代から30年代に焦点を当て、新様式・新楽器の発表機会であった演奏会の分析を通して、1935年を頂点とする新しい潮流の実状を明らかにすることを目的とした。 初めに、三曲(箏曲・地歌・尺八)の700点余りの演奏会プログラム及び約1万件の演奏会情報に基づき、演奏者、曲目、使用楽器を調査し、資料集を作成した。研究の前半では、朝鮮および樺太における新日本音楽の実態を調査した。後半では、三曲演奏会で使用された楽器について、三曲本来の楽器、改良された新楽器、他種目の既存の楽器、西洋楽器に分けて検討し、激変する時代に沿った楽器の工夫について考察を行った。
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