研究課題/領域番号 |
15K02100
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小岩 信治 一橋大学, 大学院言語社会研究科, 准教授 (90387522)
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研究分担者 |
大角 欣矢 東京藝術大学, 音楽学部, 教授 (90233113)
奥中 康人 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 准教授 (10448722)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ピアノ / 東京音楽学校 |
研究実績の概要 |
本研究の調査対象は、明治・大正期に本邦に存在したピアノである。この時期に本邦に存在したピアノとして、二つのタイプを想定できる。第1に欧米から輸入された楽器。東京音楽学校(1887-1952、現東京藝術大学音楽学部)は当時外国産ピアノを購入しており、うち数台が東京藝術大学に現存している。第2に、20世紀に入って製造されはじめた国産ピアノ。一部が東京藝術大学のほか、浜松市楽器博物館などに現存している。 本研究の初年度である平成27年度は、上記二つのタイプのピアノがかつて存在し、また一部が現存する東京藝術大学での調査を行った。 1)現存する楽器の調査:大学美術館が所蔵するピアノについて、音域、基本的な構造、配弦仕様などについて調査した。イーバッハ(Ibach)社製グランドピアノ(製造番号63905)、スタインウェイ(Steinway)社製スクエアピアノ(製造番号17038)、チッカリング(Chickering)社製スクエアピアノ(製造番号24678)の3台である。2)また、過去に購入したがもはや現存していない楽器の調査のため、音楽学部(旧東京音楽学校)の会計資料の調査を開始した。東京音楽学校の会計資料はこれまで詳細な検討が行われておらず、本研究によってはじめて、楽器購入費用などが記録されているこの資料に光が当てられることになっている。スタインウェイなど海外産楽器とともに、ヤマハのピアノなど国産楽器の購入の記録が確かめられる一方、東京音楽学校の楽器取引業者が明らかになっている。取引業者のなかには、大阪の三木楽器のように、業者側の納入簿が明らかになっているケースがあり、特定の楽器については、購入側と納品側双方の記録を付き合わせて同定するという成果ももたらされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究分担者、研究協力者による打ち合わせを順次行い、研究プロジェクトの役割分担に応じた備品を整備するなど、研究体制を構築するとともに、東京藝術大学所蔵の資料(楽器、会計資料)の調査を、概ね当初計画どおりに遂行してきた。東京藝術大学での楽器所蔵調査は、所蔵先の大学図書館倉庫移転・改築のため当該年度中の遂行が危ぶまれたが、年度序盤の6月までに集中的に調査期間を設定し直して対応し、また今後の調査のための知見を集めることもできた。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度(第2年次)には、引き続き東京藝術大学等における歴史的ピアノの調査を行うほか、静岡文化芸術大学、東京藝術大学における、本調査の成果中核報告のための公開講座の開催を検討している。また年度末に行われる国際音楽学会東京大会での成果発表に応募している。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査対象とするピアノの台数が、当初計画を下回ったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には調査範囲を拡大するため、旅費・謝金の使用が増加することが予想される。
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