研究課題
基盤研究(C)
大正期までに使われ始め、現在各地の大学・博物館等に所蔵されている楽器の実物調査を11件実施した(実物調査=標本調査)。そして、これら実物調査を行ったものを含め、過去に存在した楽器の網羅的な調査を行い(悉皆調査)、304点に関する情報を集積した。この300点余りの情報のなかには、現存しているものだけでなく、実物が失われ、文書資料によって過去の存在が確認できたものも含まれる。
音楽学
明治・大正期、ヨーロッパに由来する音楽が既存の音楽文化とせめぎ合いながら定着する過程において、ピアノは新しい音楽文化を体現する象徴的な楽器の1つであった。プロの音楽家の育成にも、学校での音楽教育でもピアノが活用された。しかしその響きが実際にどのようなものであったのかが問われ、音楽史記述に活かされたことはなかった。こうした状況に鑑みて、当時どのようなピアノが輸入され、また製造され、そして使用に供されていたのかを明らかにする基礎研究が必要である。