本研究は英米の環境芸術の実証研究に基づく新しい自然環境美学の構築の試みである。ここで構築される自然環境美学は、西洋哲学の伝統において「自然」対 「人工」(ないし「芸術」)の二項対立の図式で捉えられてきた「自然」「人工」「芸術」の概念を定義し直し、同時にこれら3つの領域を自由に行き交う英米の環境芸術作品の美学的な分析を通して、 現代の複雑な自然環境を明らかにする。研究の成果として『美学』に発表した論文「環境芸術は自然に対する美的侮辱といえるのか―環境芸術をめぐる倫理的問題について―」では、環境美学の最新の議論の動向を示しながら環境芸術をめぐる環境美学の新たな方向を示すことになった。
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