ヨーロッパにおけるジャズ受容がアメリカにおけるそれと端的に違う点は、当初より「芸術」として受け入れられてきた点にある。時期的にこれは、政治上は第一次大戦 によって、音楽史的には無調や未来派のノイズ音楽によって、19世紀的なヨーロッパ秩序が根底から揺さぶられ、いわばヨーロッパが政治的にも文化的にも自信 喪失状態にあった時代にあたっていた。つまりジャズはアメリカという新たな世界ヘゲモニーのシンボルであり、旧世界にとって新世界から与えられた活力剤で あると理解された。戦間期にジャズに熱中した作曲家は枚挙にいとまがない。
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