研究課題/領域番号 |
15K02107
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小石 かつら 京都大学, 白眉センター, 助教 (00636780)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 演奏会 / プログラム / グローバル / ゲヴァントハウス / ライプツィヒ / ベートーヴェン / オーケストラ / メンデルスゾーン |
研究実績の概要 |
本研究は、音楽が鳴り響く「場」としての「演奏会」に注目することで、多面的な音楽ジャンルの相互連関を明らかにし、その結果をヨーロッパ諸都市における状況と比較調査することにより、音楽文化のグローバル化の実態を解明することを目的としている。そのために、ヨーロッパで最も歴史の長い民間オーケストラであるドイツのライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の創立(1781年)以来のプログラムの変遷をたどることを研究の主軸としている。 本年度は、演奏会の曲目構成に注目し、とりわけ演奏会後半が交響曲一曲のみになる事例に注目して、その変遷や内訳について調査をすすめた。その成果の一部に関して、日本音楽学会全国大会にて「転換点としての《エロイカ》:演奏会史からみたその意義について」と題する口頭発表をおこなった。また1847年までのプログラム変遷の特徴をまとめ、「オーケストラ演奏会のプログラム構成における『二つのモデル』への集約過程:ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏会記録(1781-1847)を検証する」と題する論文を『阪大音楽学報』に投稿、現在査読中である。 また演奏会の背後にある家庭音楽の実態にせまることを目的とし、メンデルスゾーンの初期(未出版)ピアノ作品の楽曲構成に関して研究をすすめた。これについて、アイルランド・メイヌース大学での国際19世紀ヨーロッパサロン音楽学会にて"The desire for a new style of Salonmusik: From F. Mendelssohn to F. Liszt"と題する口頭発表を行った。この口頭発表での内容をさらに追求し、「F・メンデルスゾーンの形式感に関する一考察:ピアノ作品習作期にみられる『緩急二部分構造によるスタイル』完成への過程」と題する論文を『美学』に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のプログラムに関して、1847年まで入力を完成し、1848年から1881年のプログラム現物の調査および複写を終えた。現在これらを整理中であり、ほぼ計画どおりである。また、ロンドン・フィルハーモニー協会の1813年の創立より100年分のプログラムについては、データ入力を終了した。これも計画どおりである。これらをどのようにデータベース化していくかについて、現在調査/準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
ライプツィヒ・ゲヴァントハウスのプログラム調査および複写に関して、ライプツィヒ市史料館での作業および担当職員の方とのやりとりに想定より時間がかかったが、その間にロンドン・フィルハーモニー協会関連の作業をすすめるなど、並行して複数の調査を行っているので、進捗については総合的にうまくいっている。今後もこれまでどおりに、複数並行ですすめていく所存である。
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